鳥籠の虫と虫籠の鳥
ウェブ公開版あとがき


 どんなにhtmlの能力を駆使したところで、紙媒体での形式と同じような公開の仕方は不可能です。
 といって、別に七重自身がhtmlの能力を最大限発揮できる力があるわけではないのですけれど。
 というわけですので、見辛かったら謝らせてください。ごめんなさい。orz


 創作に携わる人たちにとって、「一皮剥けた」と実感できる瞬間というのは、少なからず存在するものなのだと思います。
 七重の場合間違いなく今回がそうであり、たぶんしばらくはこれ以上の作品は書けないだろうっていうくらいの作品になりました。
 だからといって面白いかどうかと聞かれるとなんとも返答しづらい部分がありますが、とりあえず、「今までの自分とは違う」とだけは、胸を張って言えるのです。
 そしてこれが、冊子版『ゆりたん』にゲスト参加してくださった神瀬氏のおかげであることは言うまでも無いことです。この場を借りて御礼申し上げます。以上、私信。


 七重の創作活動の出発点は、「百合大好き」という座標です。
 ゆえに、作品に効果的に百合を盛り込んだり、あるいは百合以外のお話を書いたりすることは、あまりできません。
 やろうと思えば不可能はないのですが、しばらくはそうするつもりはないのです。男同士なら書くかもですが。
 とにかく、こうした座標が始点であるという時点で、七重は他の同人作家さんとはかなり別次元を歩むことになるわけです。
 けれども、ただの百合好きな同人野郎というだけで終えたくはありません。それくらいの野心は持っています。


 百合を世間的に認知させる――なんてことには、あまり興味がなかったりします。無理ですし。
 だから七重は、百合作品を、「なんだ、百合か」と思って敬遠する人を後悔させたい。
 「百合を甘く見てましたゴメンナサイ」って言わせたい。それだけなのです。


 百合を題材として、百合以外のテーマをメインの思想として盛り込む作家さんは、恐らくこれからもたくさん出てくるでしょう。
 そうした作品が出てくるたびに、我々百合スキーは、百合の部分だけを抽出して楽しむことになるのだと思います。
 しかしながら七重は、あくまで百合をメインに、それ以外の思想を脇に押し込めて、戦っていきたいと思っています。


 百合の尖兵。百合の一番槍。百合の特攻隊。そういうものでありたいと願っています。




 2006年11月19日 七重紅海 拝



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